石川 慎二 いしかわ しんじ

保有資格NSCA-CPT, レベル I 認定
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所属 ウイダートレーニングラボ S&Cコーチ




「法政大学第二高校」をサポートするようになったきっかけを教えてください

 現在勤務しているウイダートレーニングラボでは、当初インターンとして現場を体験しました。施設に来館される個人アスリートの指導現場をみながら経験を積み、その後はスポーツ現場でチームのサポートをしていきたいと思っておりました。少しずつ知識・技術を学び、実際にスポーツ現場を見学するようになり、体力測定やトレーニング指導の補助にも帯同するようになりました。それらチームのうちの1つが法政第二高校ラグビー部でした。正式にウイダートレーニングラボに勤務するようになってから、法政第二高校の指導を前任のコーチから引き継ぎました。

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選手・チームへのサポート内容はなんでしょうか?

 サポート内容はトレーニングルームでのストレングストレーニングを中心に、グラウンドでのスピード&アジリティ、フィットネス、ウォームアップ、クールダウンなどを指導させていただいています。頻度や量は時期によって変わってきますが、常に監督や選手から情報を得ながらピリオダイゼーションを計画しています。メニューは、ラグビーに関する研究データ、体力測定で得られたデータ、試合でのプレーから抽出した情報などを集約し、チームにとって最適なプログラムは何かを常に考えて作成しています。最終的に競技に結び付くパワーを向上させるわけですが、パワーを効率よく発揮するためにウォームアップの時間を利用してコアアクティベーションやムーヴメントプリパレーションを行ない、なるべく短い時間で練習、試合へ臨む準備を行ないます。特に高校生は練習時間が限られているので、選手に理解しやすく、やるべきことを明確にしていかにシンプルに伝えるかが重要なポイントだと考えています。また、グラウンドで行なうスキル練習と、トレーニングルームで行なうストレングストレーニングを全く別の練習として捉えてほしくないので、ルールの厳守、雰囲気づくり、声の出し方、意欲など、グラウンドとトレーニングルームでのふるまい方をリンクさせるように意識づけしています。

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NSCAの資格認定やその知識が現場にどのようにプラスとなっていますか?

 現場で一番プラスになっていると感じるのはトレーニングプログラムの作成においてです。『ストレングストレーニング&コンディショニング』(エッセンシャル)のテキストに出会うまでは、恥ずかしながらピリオダイゼーションや神経系、内分泌系の適応など、詳細な知識を持っていませんでした。エッセンシャルやNSCAジャパンのwebサイトから閲覧できる文献を読むことにより、プログラム作成の根本的な部分を知ることができました。すべて科学的根拠に基づいているので信頼性もあり説得力もありました。
 これにより、選手への指導方法も変わったと思います。理論を知ることで考え方が整理されたので、選手に対してはメニューの理解と意識づけを短い時間で実践することが可能になり、監督・コーチに対しては体力測定の結果と実際の競技スキルをリンクさせてフィードバックしやすくなりました。
 また、知識を知恵に変えるために利用できる手段の一つであり、まさにスポーツ現場とトレーニングルームをつなぐ架け橋的存在になっていると感じています。

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現在の選手・チームの様子はどうでしょうか?

 法政第二高校ラグビー部はストレングスレベルを絶対値で評価し、フィジカルレベルを4ヵ月に1回行なう体力測定と毎週行なう体重測定で評価しています。数値が評価の対象となりますが、この数値はチームにとって重要な指標になっています。数値に伸びがあると、選手の練習や試合に取り組む姿勢に変化がみられ、パフォーマンスレベルや雰囲気が向上することはもちろんのこと、なにより辛い練習を行なっているにもかかわらず楽しんで行なっていると感じられるようになります。また、競技特性上、「絶対に当たり負けしない身体をつくる!」という意識のもと取り組んでおり、チーム内でのライバル選手の重量を確認してそれよりも多く負荷を扱うような、競争心を持つ選手が増えてきているので、今後の成長がとても楽しみです。

選手・チームのアピール(展望)をお願いします

 法政第二高校ラグビー部を担当してからもうすぐ4年が経ちます。少しずつではありますが、「トレーニングとグラウンドでのプレーはリンクさせて考える」という伝統が芽生えてきました。それはたわいもない会話の中からもよく感じますし、意識することから様々な発想が生まれて、プレーにも生きていることがよくわかります。神奈川県は全国でも強豪校がひしめく地区で、ここ最近は県内ベスト4と8を行き来している状態ですが、考え方ひとつでチームの力は何倍にもなるので、今後が非常に楽しみです。選手と共に自分も成長させていただいているので、これからも選手への感謝と尊敬の想いを忘れず、全力サポートを心掛けていきたいと思います。


インタビュー:2013年2月15日