ハングクリーン

主に使われる筋群

大殿筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、下腿三頭筋、脊柱起立筋、三角筋、僧帽筋

実技検定チェック項目

    【必須項目】

  1. 床からの上げ下ろしは適切なデッドリフト姿勢で行う
  2. スタート姿勢:スタンスは肩幅~腰幅、つま先やや外向き。グリップはフックまたはプロネイティッド(クローズド)グリップ、グリップ幅は肩幅よりやや広め。胸を張り、背筋を真っ直ぐ伸ばす。肩はバーの若干前方か真上に位置する。
  3. キャッチ姿勢:クォータースクワット姿勢。バーは大転子を通る垂線の前に位置する。
  4. 【動作】

  5. ストレートアップ:肘を伸ばしたままバーが体から離れないようにする。
  6. フルエクステンション:十分な股関節、膝関節の伸展および足関節の底屈とシュラッグ動作。
  7. キャッチ動作:リバースカールにならないよう行い、鎖骨と三角筋前部でバーを支える。
  8. 【全体】

  9. 下肢の伸展による爆発的な動きである。
  10. なめらかで途切れのない一連の動作である。
ハングクリーン1 ハングクリーン2 ハングクリーン3 ハングクリーン4 ハングクリーン5
スタート姿勢キャッチ

エクササイズテクニック

① 床からの上げ下ろし(デッドリフト)

□ バーをできる限りすねの近くに位置させる。
□ 腰幅から肩幅の間でスタンスをとり、つま先をわずかに外側に向ける。
□ 肩よりも低く腰を下ろし、プロネイティッドグリップで握る(下図参照)。
□ グリップ幅には個人差があるが、通常は肩幅か肩幅より若干広く握る。
□ 腕を伸ばし、グリップは膝の外側に位置させる。
□ 足裏全体を床に接地させ、肘を外側に向ける。

×
肩よりも腰が低い適切な姿勢 肩と腰がほぼ同じ高さにある不適切な姿勢
肩よりも腰が低い適切な姿勢 肩と腰がほぼ同じ高さにある
不適切な姿勢

プロネイティッドグリップ
プロネイティッドグリップ

×
フックグリップ クローズドグリップ サムレスグリップ不適切な握り方
フックグリップ クローズドグリップ サムレスグリップ
不適切な握り方

適切な手幅 手幅が狭い 手幅が広い
適切な手幅 手幅が狭い 手幅が広い

※挙上前に、次の7つのチェックポイントを確認する
  ・背筋を真っ直ぐにする。またはわずかにアーチを作る。
  ・しっかり胸を張り(チェストアップ)、肩甲骨を互いに引き寄せる
  ・頭は脊柱の延長線上に置くか、わずかに上を向く。
  ・足裏全体をしっかり接地させ、足の中心部と拇趾球で体重のバランスをとる。
  ・肩はバーの真上か、わずかに前に位置させる。
  ・視線は正面か、わずかに上に向ける。
  ・息を吸って止めておく。

※体幹、股関節、膝関節、およびバーの位置は個人の体節の長さや下半身の柔軟性などの影響を受ける。柔軟性が低い場合は、適切な開始姿勢をとろうとしても、床からの挙上が難しい。そのような場合は、リフティングボックスなどを利用する。

□ バーが膝の高さまでは、上体の角度は変わらないように挙上する。
□ バーが膝を通過したら、上体を起こしていく。
□ バーは常に身体に近づけて挙上する。
□ 脊柱を真っ直ぐにする。またはわずかにアーチを作る。

<デッドリフト>
デッドリフト1 デッドリフト2 デッドリフト3
スタート姿勢 直立姿勢
     
  不適切なデッドリフトスタート姿勢  
  体幹部が丸まった不適切な
デッドリフトのスタート姿勢
 

② ハングクリーンのスタート姿勢

□ 直立姿勢から、股関節と膝関節を曲げながら前傾する。肩はバーの若干前方か真上に位置する。
□ 肩甲骨を互いに引き寄せて、しっかり胸を張った姿勢を保つ。
□ 足裏全体をしっかり接地し、足の中心部と拇趾球で体重のバランスをとる。
□ 視線は正面か、わずかに上に向ける。
□ バーを、膝の上で大腿に触れた状態に保つ。

× ×
ハングクリーンの適切なスタート姿勢 肩がバーの後方に位置している 不適切なスタート姿勢
ハングクリーンの適切なスタート姿勢 肩がバーの後方に位置している 不適切なスタート姿勢

③ ハイプル

□ 股関節、膝関節、および足関節の素早い伸展による上方への爆発的なジャンプ動作を行う。
□ 背筋を伸ばし、肘は完全に伸ばして外側に向け、頭は脊柱の延長線上に位置させる。
□ 肩はバーの鉛直上方に位置させ、肘を真っ直ぐに伸ばした状態をできるだけ長く保持する。
□ 下肢の関節を完全に伸展したとき(フルエクステンション)、肩が持ち上がる(シュラッグ)。このときまだ肘を曲げない(ストレートアップ)。
□ 肩が最高点まで達したら、身体をバーの下に引き込むために肘を曲げ始め、バーの下に身体を引き込んでいく。上半身の動きはアップライトロウに似ており、肘は上方外側へ動いていく。
□ バーは、できる限り身体の近くを通過させる。
□ 下半身のジャンプ動作と上半身のプル動作によって、体幹は直立またはやや過伸展し、頭はわずかに後傾し、足が床から離れることもある。

ハイプル1 ハイプル2 ハイプル3 ハイプル4
1 2 3 4

フルエクステンションとストレートアップの模範例
フルエクステンションと
ストレートアップの模範例

膝伸展がやや不足している例 股関節伸展がやや不足している例 シュラッグが不足している例
膝伸展がやや
不足している例
股関節伸展が
やや不足している例
シュラッグが
不足している例

×   × ×
腕の引き上げが早い例   下肢の伸展ではなく、腕で引き上げている不適切な例 下肢の伸展ではなく、腕で引き上げている不適切な例
腕の引き上げが早い例   下肢の伸展ではなく、 腕で引き上げている不適切な例

 

④ キャッチ姿勢

□ 下半身が完全に伸展し、バーがほぼ最高点に達したら、バーの下に身体を引き込む。
□ 同時に、股関節と膝関節はクォータースクワット姿勢まで屈曲する。
□ 腕がバーの下にきたら、上腕が床と平行になるように肘を持ち上げ、バーと鎖骨と三角筋前部を通るように乗せる。
□ バーを以下の姿勢で受け止める
   ・頭の位置はニュートラルにする。
   ・足裏は床にしっかりつける。
□ 肩が殿部よりもわずかに前方に出た状態でキャッチすることが重要である。体幹が過度に直立すると、バーの勢いによって肩が後ろへ押され下背部が過伸展してしまう。その結果、傷害のリスクが増加するので注意が必要である。
□ バーをコントロールしてバランスをとった後、股関節と膝関節を伸展させて立ち上がる。

× ×
バーを鎖骨と三角筋前部で支えている バーを手だけで支えている例 スタンスが広すぎる例
バーを鎖骨と三角筋前部で
支えている
バーを手だけで支えている例 スタンスが広すぎる例
× ×
適切なキャッチ姿勢
大転子よりもバーが後方にある不適切な姿勢

 

大転子

背中が丸まった例
適切なキャッチ姿勢 大転子よりもバーが後方
にある不適切な姿勢
背中が丸まった例

 

⑤ 下ろす動作

□ 徐々に肩の力を抜き、鎖骨部から大腿部への下降をコントロールしながらバーを下ろす。
□ バーが大腿部に触れたときの衝撃を緩和するため、股関節と膝関節を同時に若干曲げる。
□ バーが床につくまで、肘を伸ばしたままで腰を下ろしていく。

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