金井 洋貴 かない ひろき

保有資格NSCA-CPT 写真
所属松商学園高等学校 教員
 
 
 
 

「松商学園高等学校」をサポートするようになったきっかけを教えてください

 大学卒業後、平成18年より、母校である松商学園高等学校へ保健体育科の非常勤講師として赴任し、現在は、教員という立場で、ウエイトリフティング部の指導と、野球部のトレーニング指導にあたっています。
 高校時代にウエイトリフティング部に所属していた経緯があり、赴任後は、野球部の当時の部長から選手の身体作りを任され、ストレングスコーチという立場で活動していました。当時は、野球部での活動がメインであり、その傍ら、ウエイトリフティング部のコーチをするというような状況からのスタートでした。

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選手・チームへのサポート内容はなんでしょうか?

 野球部は専属のトレーナーがいるわけではないので、赴任当初は、トレーニング指導の他に、怪我の処置から、ストレッチ指導、栄養指導など、野球の技術指導以外の事を幅広く行なっていました。今思うと当時トレーニング以外のことを幅広く指導した経験が現在の活動の基盤となっているように思います。当時は野球部の活動がメインでしたので、授業が終わると、ウォーミングアップからグランドへ出て、野球の技術練習をする選手たちの動きを見ながら、監督に割り振っていただいた時間を使って、体幹トレーニングやフィールドトレーニングを行なっていました。ウエイトトレーニングは、シーズン中は各自で取り組み、オフシーズンにグループ毎ローテーションを組んで行なうという形をとっていました。
 現在はというと、野球部のストレングスコーチという役割もありますが、正式にウエイトリフティング部の顧問として校務分掌に名前が記され、同部の監督として選手強化に取り組んでいます。
 当然、活動時間が重なるため、二つの部活動にかかわるということで最初は戸惑いもありましたが、昨秋、野球部の監督が代わり、スタッフが増えたので、監督にもそういった状況を理解していただき、今年度からは、ウエイトリフティング部の活動を優先し、野球部のウエイトトレーニングも朝の練習時間に行なうなど時間をずらし、両立させながら指導をしています。

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NSCAの資格認定やその知識が
現場にどのようにプラスとなっていますか?

 赴任当初、自分の中に知識や技術としてあるものは、高校時代の選手としての経験と、大学ではスキー部に所属していたのでそのトレーニングの経験、それと大学での講義で学んだ知識しかありませんでした。最初の頃は、自分の経験則に基づいて指導して、なんとか成果は出ていたのですが、高いレベルを目指している選手たちに対してより成果の出るトレーニングや情報を提供していかなくてはと強く思うようになり、CPTの資格取得を決意しました。教員であるため資格を取得したから状況が変化するということはありませんが、資格取得のために勉強をし、知識を身につけた過程が私のスキルアップのために大切であったと思います。
 実際に見ている高校野球の選手たちは、個人差、意識レベル、学年毎の差、などあらゆるものがマニュアル通りにはいかず、目の前の選手たちに見合った最適なトレーニングをプログラムしてあげることが非常に重要になってくると感じています。学業そして野球が本業であり、限られた時間で最大限の効果を出すためには、勇気を持ってプログラムの取捨選択をすることが大切だと思います。そのため、何より、資格取得のために勉強した知識、セミナーへ参加し勉強してきたことが、ストックとなりトレーニングの引き出しが増えたことが現場でプラスとなっています。
 学校の中だけで活動していると、どうしても井の中の蛙状態になってしまうので、視野を広げる意味でもセミナーへの参加も積極的に行なっています。また、選手と同じように現状に満足せず、進化をし続けるという意味でセミナーへの参加も重要だと考えています。
 何より、全国で活動している方々と同じ空間で受講することにより、自分自身、刺激を受けて帰ることができ、翌日からのトレーニング指導のモチベーションへもつながっています。

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現在の選手・チームの様子はどうでしょうか?

 現在、ウエイトリフティング部は、男女10名で活動をしています。全員が高校から競技を始め、中には中学までは文化部だったような選手もいます。ロンドンオリンピックでの三宅選手の活躍にもあるように女子選手の頑張りも目立ち、新しいスポーツに出会い、目覚ましい成長を遂げている選手も多くいます。まじめに一生懸命な選手ばかりで、熱心に日々トレーニングを行なっています。しかし、基礎筋力が乏しかったり、柔軟性が極端に少なかったりと課題を多く抱えている選手が多いのが現状です。そんな中で、経験則に沿ったメニューばかりでなく、様々なプログラムを用いて効果的に強化をしています。選手も、日々身体の進化、技術の進歩があり充実した日々を過ごしています。全国大会での上位入賞を目指し日々練習に励んでいます。
 また、野球部は来年、野球部創部100周年を迎え、現在のチームは甲子園での活躍が期待されています。しかし、ここ数年、県大会の決勝で9回に逆転されたり、延長戦の末敗れたりという様な結果が続いていて、トレーニングによってフィジカルだけでなくメンタルの部分でも追い込んだトレーニングをし、精神的なタフさを培わなくてはという思いが強くあります。また、特に、現チームは小柄な選手が多く、非力な印象が否めません。それゆえ、これからのトレーニングルームでの取り組みが非常に重要になってきます。しかし、勝利に飢えた選手たちなので、この冬にトレーニングで身体を鍛え抜き、必ずや、来年の夏の甲子園で活躍してくれるだろうと確信しています。 秋の大会も終わり、トレーニング期に入っていく中で選手のモチベーションを上げる仕掛け、きっかけ作りをしなくてはという思いから、ある大学のアメリカンフットボール部のストレングスコーチより譲っていただいた大学生のトレーニング映像のDVDを見せ、「目指せ、『日本一のトレーニング』」を合い言葉に、取り組み、意識、意欲共に日本一のトレーニングを目指そうとスタートを切ったところです。


インタビュー:2012年10月10日